ハイブリッド鋳造は砂型鋳型では成形が困難な局部的な複雑形状部に石膏鋳型を用い、その他の部分を砂型鋳型とする融合鋳造手法です。電気自動車に用いられるインバーター制御装置内の冷却回路など、局部的に複雑な形状が求められる鋳造品に対して有効な鋳造方法です。
砂型鋳造品を生産するために必要不可欠な砂型鋳型を成形する工程が造型工程です。造型工程は、複雑な部品形状に加工された木型に鋳物砂を充填し硬化させ、砂型鋳型を成形する重要な工程です。当社では、この砂型鋳型成形作業を作業の技能に応じて行なっています。砂型鋳型の硬化には二つの手法があり、一つは予め鋳物砂に水ガラスというバインダーが混練された砂に炭酸ガスを充填し硬化する方法。もう一つは鋳物砂に樹脂と硬化剤を添加し硬化する方法です。いずれの技法に対しても、経験と技能を有する作業者が一つひとつ丁寧な物づくりを行なっています。
砂型鋳造品では木型に鋳物砂を充填硬化し鋳型を成形するのに対し、石膏鋳造では目的とする形状のマスターモデルを製作し、このマスターモデルよりシリコンゴムで2回反転したシリコンゴム型を成形します。このシリコンゴム型に液状の石膏を充填、硬化させて石膏鋳型を成形します。石膏鋳型の利点は、砂型鋳型とは異なり、金型を用いたダイカスト品の外観面に近い鋳肌の鋳造品を製作できることです。また、砂型鋳型の鋳造品と比較し、厚さ1ミリのフィンやダイカスト並みの寸法精度など複雑形状の鋳造品成形が可能です。