東京ビッグサイトで開催された展示会。弊社のブースを訪れたお客様から「現在、試作部品製造の計画があるのですが、通常の砂型鋳造や切削加工では対応が難しいといわれ、困っているのですが」と相談が持ちかけられた。
「ご検討されている試作部品は、どのような形状ですか」と弊社営業担当が尋ねる。
「簡単に表現すると串歯状の非常にピッチの狭い形状で、他社では鋳造でも機械加工でも一体成形は無理だといわれました」
「その案件、持ち帰って検討させていただいてもよろしいでしょうか」と営業担当はお願いし、同案件の詳細を伺うことになった。
対応できることが分かった。しかし、試作部品はサイズが大きく、複雑形状はごく一部に限られており、全体を石膏鋳造するにはコストや納期がかかりすぎるし、内部欠陥がでやすいという問題があった。そこで、低コスト・高品質・短納期という利点を持つ砂型と、高精度・高鋳肌という利点を持つ石膏鋳造を組み合わせるハイブリッド鋳造法が考案された。しかし、石膏型と砂型という性格の異なる鋳型を単に組み合わせただけでは、原材料が行き渡らず一体成型できなかった。これに対し、弊社の技術陣が知恵を絞り、試行錯誤した結果、ついに要求品質をクリアする一体成型ハイブリッド鋳造を実現することができた。
ハイブリッド鋳造による試作品をお客様に評価していただいた結果、早速、本番用製品を受注することができた。その後、100台超の製品を納入、コスト、納期、品質ともにお客様の評価をいただくことができた。